木材の含水率

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含水率と測定の方法

乾燥室A 個々の製品の全乾燥重量を測定する「全乾法」は、現実的に不可能ですので、「電気抵抗式含水率計」「高周波式含水率計」、「マイクロ波式含水率計」等によって測定します。電気抵抗式は表面のみの含水率しか測定できません。高周波式は表面より、20mmぐらいの部分の含水率に相当し、断面全体の含水率の平均値に近く、全乾法の値と大差がないと言われています。マイクロ波式は、芯まで100%計測できます。
 高周波式で測定するにしても、製品の重量で測定するにしても、個々の木材の比重により測定値の補正が必要になります。一般的に、全乾比重は杉0.35 桧0.4 とされていますが、同じ樹種でも1本1本の木材によって比重の違いがあり、又、1本の木材でも部分によって違いが現れます。詳しいデータは現在ありませんが、±0.05以上の比重差が個々にあると考えられます。
 ちなみに吉野の杉・桧の平均的な比重値は杉0.4 桧0.48 と、一般より少し高い言われています。 比重値が高いということは、木目が密であり強度が高く、見た目も美しいということにも繋がります。


材質と含水率
杉の白太と赤み 年輪幅が細く、油分が多くて体積に対して赤み部分の占める割合が多い材と、年輪幅が粗く、油分が少なく体積に対して白太部分の占める割合が多い材とでは、乾燥後の含水率を測定して両方を平均して比較してみると、後者の材が3%前後低い値になります。これは材質の密度が粗いほど比重値が小さいからだと思われます。


材質と反り・曲がり
 木材が乾燥過程で、「反り」、「曲がり」、「ネジレ」などを起こすのは、単に含水率の低下のためだけでなく、木材1本1本その物の性格によって引き起こされると考えられます。 
 例えば、原木の状態で「曲がり」、「芯寄り」、「アテ」のある木は、真っ直ぐに製材加工した後も「反り」、「曲がり」、「ネジレ」が出てくることが多く、さらに乾燥させていくと平衡含水率になるまで曲がり続けますが、もともと通直円心で年輪が密でアテのない木は、生材の状態から乾燥し終わるまで、極端に曲がっていくことはありません。


「葉枯らし」
葉枯らし 「葉枯らし」とは、伐採現場で木材を予備乾燥させる処理の事です。 主に杉の木に行います。 杉は伐採直後は株から樹液が流れ出てくるほど水分を多く含んでいます。 そのため、伐採現場で根株を切り離したら、枝葉を付けたまま穂先を山側に向かって倒し、6ヶ月前後放置しておきます。 そうすることによって枝葉を通して水分を発散させ、自然乾燥をある程度施しておきます。
 葉枯らしを行ない予備乾燥することによって、黒芯材(赤み部分が黒い材)の渋が抜けて、吉野杉の特徴である淡紅色になります。 吉野杉の評価の基準としては色と目合を重視されているため、杉の高齢木については、必ずこの渋出しが行われています。 この時、澱粉含有量も減少するため、青変菌やキクイムシの被害も減少します。 ほか、重量が軽くなるため伐採現場からの出材作業の負担が軽減されてコストの低下に繋がるなど、たくさんのメリットがあります。

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